2020年(令和2年)1月27日
金沢市長
山野 之義 様
金沢市公営企業管理者
平嶋 正美 様
「企業局が民営化するってさ」
ガス事業・発電事業のあり方を考える市民の会
共同代表 澤 桂子
共同代表 米澤 利昭
公 開 質 問 状
日頃より、市政並びに公営企業の運営にご尽力頂きありがとうございます。
さて、私たちは、昨年12月23日付で、ガス事業・発電事業譲渡に関するパブリックコメントのやり直しを求めた市民有志から成る会です。1月15日付で回答を頂きましたが、市主催で市民への説明会は予定しないとの回答に失望を感じています。
そこで、私たちは、市民・住民に対する説明責任を求め、下記の諸点について公開質問状を提出いたします。12月26日に締め切られたパブリックコメントに対する当局の見解にも注目していますが、私たちは、「金沢市における市民参加及び協働の推進に関する条例」第4条「市民は、自らの果たすべき役割を自覚し、多様な機会を通じて積極的かつ主体的に市民参加をするよう努めなければならない。」という市民の役割を自覚し、直接に回答を頂き、質問や意見を交わせる場を設定いたします。
下記の「公開質問に対する回答と意見交換のつどい」にご出席の上、お答えくださるようよろしくお願いいたします。なお、公開質問状ですので、当日は報道機関の取材の可能性があることもお含みおきください。
■公開質問に対する回答と意見交換のつどい
とき 2月9日(日)16:00~18:00
会場 石川県教育会館2F和室 (金沢市香林坊1-2-40)
■質問事項
(1)パブコメの手続きの問題点~通知が不公平かつ不十分
・この意見を求める案内は、周りに届いていない人がたくさんいました。市民の財産であるガス事業・発電事業を民営化しようという重要なことであるので、市民全員にパブリックコメントを求めるようにする必要があります。
・市として事業譲渡先に一部出資するのであれば、全市民にパブコメを求めるべきではないでしょうか?
・知人から聞いてパブコメを知りました。都市ガス利用者だけに通知していますが、企業局の事業は全市民の公共資産なので、ガス利用者だけの声を聞くのはおかしい。すべての市民に通知を求めます。
(2)事業譲渡の根拠が十分に説明できていないままなぜ急ぐのか
・実施時期について、「早めに自由化のメリットを市民に供与するため、可能な限り早期に事業譲渡を行います。」と書かれていますが、市民の財産である、ガス事業・発電事業の民営化という重要なことについて、その根拠が十分に示されてはいません。
市民に対し十分な説明と、市民の中で十分な議論ができるようにするべきであり、早く結論を出すべきことではないと思います。
・「早期に…」とありますが、このパブコメ実施の一カ月も含めて、ていねいに、広
く、市民の意見を聴くことを要望します。
(3)エネルギーの重要性・公共性は民営化に適さない
・エネルギーの公共性・重要性を考えると、効率・利潤を追求する民営化は、安全・
安心を脅かすものであり、民営化には反対です。
・地方公営部門として水道とあわせ市民生活を支える大切な役割を電気ガスが担って
いると思います。公として、ていねいにとりくんでほしいです。
(4)期待されるメリットが矮小
・「自由化により期待される消費者のメリット」として「電力・ガスセット販売」「ポ
イント還元等」と書かれています。また、「法令等の制約により多様なサービス提供が困難」ともありますが、生きるため、生活するために必要なガスや電力にそのようなサービスは必要ありません。
(5)予想される効果にデメリットが書いてない
・プラス面のみ書いてありますが、ハード面では施設のメインテナンスなどが低下す
るのではないでしょうか?
・エネルギーと水はライフラインですから、最終的には自治体が責任を持たなくては
なりません。もしも民間企業が割に合わないと撤退したら、尻ぬぐいをするのは住民です。どういうリスクがあるのかも十分に住民に情報提供していただかないと困ります。
(6)財政面での市の説明に疑問
・ガス事業の「経営状況」について、「経営上の負担となっている累積欠損金(59
億円)及び企業債残高(116億円)」とありますが、経営は年々改善しており、経営は良好だと聞いています。示された数値は、一面の数値しか示されておらず、民営化に誘導しようという意図が働いており、市民をペテンにかける手法ではないですか。公表する数値は、公正に判断できるように全面的な数値を公表するべきです。
・パブコメ用紙の概要説明は意味不明です。あり方検討会の議事録をみると、金沢市のガス事業の経営状態については良好と書かれています。経営上の負担として累積欠損金が指摘されますが、順調に返済が進んでいます。家庭用供給戸数は減少しても、産業用需要の見通しは大型宿泊施設の増加などの増加要因もあります。この状態で急いで民間に売却する必然性が不明です。
(7)自由化ではなく独占の進展では?
・市民に自由化のメリットを提供するといいますが、自由化メリットの本質はサービスの多様化ではなく競争原理の導入のはずです。ですが、現在の民間売却案には、競争導入の可能性が見当りません。もしも電力会社が買ったりすれば、一社による地域エネルギー供給の独占にならないでしょうか。セット販売や多様な価格体系を選べても提供元は一社だけ?
(8)発電事業も売却する根拠が薄い
・パブコメの概要説明では、なぜ発電事業も一緒に売るのか不明です。ありかた検討会の議事録をみると、ガス事業だけでは魅力が薄いから発電事業とセットで買い取っていただくという理屈のようです。水力発電事業は公営の再生可能エネルギー事業としてたいへん貴重なものと思われるので、そんな理由で売られてしまうのはとても残念です。将来において電力供給形体が地産地消型のマイクログリッドに転換してくことになれば、ガス管をもっている企業局がけん引役になれるかもしれないのに、短期的視野で判断しすぎではないですか?
(9)温暖化対策と政策としての都市インフラの問題
・温暖化対策のための大胆なエネルギー転換が緊急の課題です。地産地消型の再生可能エネルギーを全力で推進することと並行して、激化する自然災害に備える強靭なインフラ整備も必要です。ガス事業も発電事業も、こうした長期的な視野に立った都市設計の一環として検討すべきものだと思います。こんな重要なときに拙速に民営化を進めてしまると、将来の方向性の検討に足かせをはめることになりませんか。後悔のないように慎重な議論を求めます。